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EV が実用化された今でもソーラー カーに注目するのはなぜでしょうか?

We Already Have EVs, Who Cares About Solar Cars?

世界の多くの地域で、すでに電気自動車 (EV) の普及が急速に進んでいます。これらの地域では、空気がきれいになり、オイル漏れで靴が汚れる駐車場 も減り、マフラーからの騒音に邪魔されず大通りでも、くつろいで食事ができるようになり、暑い日にさらにエンジンの熱で車庫や家の中が高温になることがなくなり、ポンプの面倒な清掃が不要、運転メンテナンスのコストが低減、といったメリットを享受し始めています。更におもしろいことに、EV は自然吸気式コルベットよりも加速がよく、ジープのロッククローラーよりも低速トルク性能に優れているのです!

実際、EV 革命は順調に進んでいます。「EV が実用化された今でもソーラー カーに注目するのはなぜ?」という疑問が生まれるのも当然でしょう。

ソーラー カーは EV 革命のペース カーです。未来の電気自動車の最先端技術のテスト ベッドなのです。そして、ソーラー カーを開発している優秀な頭脳は、EV 革命とその先の未来を担う成長著しいリーダーなのです。

再生可能エネルギー生成。

最終的には、ソーラーカーとEVの両方にとって、重要なのは脱炭素化という全体像です 。電気自動車は、脱炭素化に最大かつ最も直接的な影響を与えることができます。しかし、EV が大量生産で市場での成功を収めるには多くの制約があるのに対し、ソーラー カーはそのような制約がなく、エンジニアリングの自由度を享受することができます。ソーラー カー チームは、現実世界で脱炭素化とその 3本柱であるエネルギー生成、電化、効率に取り組む、最先端かつ斬新な技術や設計手法にチャレンジすることができます。

エネルギー生成

これには、再生可能エネルギー、貯蔵、送電が含まれます。ブリヂストン ワールド ソーラー チャレンジ (BWSC) の「チャレンジャー」クラスのソーラー カーは、全長 3,000 km のコース全期間にわたって、ソーラー発電した電力だけで走行します。これらの自動車は、発電と蓄電にそれぞれ最先端のソーラー パネル技術とバッテリーを活用しています。例えば、BWSC のチームはこれまで、ガリウム ヒ素ベースの太陽電池を使用してきました。この技術では、シリコン ベースの太陽電池の約 2 倍である 40% という非常に高い効率を達成できるためです。今日、ソーラー パネルが市販車に使われることはほとんどありません。しかし、EV 充電ステーションや送電線での電力を補うために使用されることが増えています。

電化

ガソリン車は、地球上のどの車よりも多くの炭水化物を消費しています。しかし、EV は炭水化物を電気で分解します。従来の内燃機関 (ICE) 電気機械システムは、電気だけで駆動できるシステムに置き換えられました。バッテリー、DC-DC コンバータ、トラクション インバータなど、同じシステムの多くがソーラー カーにも反映されています。



EV の構造 (提供: afdc.energy.gov)

安全、制御システム、通信、センサー、遠隔測定などのミッションクリティカルなサブシステムも電子化されています。PI がブリヂストン ワールド ソーラー チャレンジで支援した αCentauri ソーラー カーでは、これらのサブシステムは、Power Integrations の 750 V InnoSwitch™3-EP (PowiGaN™ 搭載) を採用した RDK-747 評価キットの改良版をベースとした DC-DC コンバータを介して電力が供給されます。

効率

ソーラー パネルから、車輪から路面に加えられるパワーに至るまで、各チームは効率を重視した設計にマニアックなアプローチを取らなければなりません。つまりそれは、レースを制するのは電力変換効率なのです。

電力変換ステージには、PowiGaN ベースの RDK-747 モジュール、ゲート ドライバー、トラクション システムへのインバータなど、太陽光から電気、高電圧から低電圧への DC-DC 電力変換が含まれます。チームはまた、最大限のパフォーマンスを発揮するために、重量を減らし、転がり抵抗や空気抵抗を最小限に抑えるなど、効率に対する物理的な影響にも焦点を当てる必要があります。RDK-747 モジュールは、部品点数の削減によりプリント基板 (PCB) サイズを縮小し、ヒートシンクを不要にすることで、DC-DC 電力コンバータの重量が軽減されます。

脱炭素化においても、同じようにリーダーシップを発揮し、エンドツーエンドのエネルギー効率改善にマニアックに注力することが、持続可能性の達成に向けて最大の効果を発揮します。

Mr.Green のブログは、αCentauri ソーラー レース チームを応援する現場です。Power Integrations の公式 YouTube チャンネル及び LinkedIn ページで、#PowiGaNVan をフォローしてください。

持続可能な開発シナリオにおけるエネルギー関連の CO2 排出量と排出源別の削減量。削減の 32% は再生可能エネルギーによるものでなければなりませんが、37% は効率改善によるものでなければなりません。(提供: IEA World Energy Outlook)

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